毎年の血液検査だけでは不十分! ワンちゃんの胆泥や胆石の早期発見には超音波検査がベター
今回は、お腹の張り程度で済み、早期発見できたのは何よりでした。しかし、飼い主さんはぽつりとおっしゃいました。
「やっぱり毎年、血液検査を受けた方がよいでしょうか?」
確かに血液検査をはじめ健康診断で分かることはありますが、胆泥のうちは無症状のことも多くて、血液検査も十分ではありません。たとえば、胆泥や胆石の血液検査項目のひとつ、総ビリルビンは、かなり胆泥が貯留していても、数値に反映されないこともあります。直接ビリルビンや間接ビリルビンは、開業医レベルでは検査できず、大きな動物病院でないと検査できません。
■もっと早く見つけられた?
そんな事情を考慮すると、今回のワンちゃんが毎年、血液検査を受けていたからといって、もっと早く胆泥を見つけられたかどうか。ほかのチェックも併せて行えば、もっと早い診断は可能ですが、血液検査だけでは不十分で、見落とすリスクさえあるのが現状です。
もし胆泥や胆石を視野に入れて健康診断を受けるなら、胸部・腹部の超音波検査を含んだメニューであること。そうすれば問題ありませんが、獣医師に勧められるがまま血液検査を受けるのはあまりよくはありません。
(カーター動物病院・片岡重明院長)