後ろ向き経営の三越伊勢丹にコロナ禍が容赦なく追い打ち
「そもそも、現経営陣が委縮するばかりで、守りしか考えていない。たとえ新型コロナ禍がなくてもジリ貧なのに、冒険する気がまったくないんです」(OB)
赤字に陥った19年度決算についても、経営陣の言い訳ばかりが目立つという。
「株主向けの決算資料では、業績が悪いのはすべてコロナのせいみたいな言い方になっている。訪日外国人減少、外出自粛による消費低迷、感染防止のための臨時休業、コロナ対策コスト増…。ごく当たり前の理由を並べて、自分たちは悪くないんだと、子どもじみた言い訳をしているだけなんです」
元凶は杉江俊彦社長の後ろ向きの経営姿勢にあると、このOBは糾弾する。
「3年前に杉江さんが社長に就任した経緯を考えると、致し方ない面もあるのですが、それにしてもひどい」
杉江社長誕生はイレギュラー的な事態がもたらしたものだった。陰りが見え始めた経営を立て直すべく、前社長の大西洋氏が打ち出した方針は事業の多角化。百貨店だけでは今後は厳しいと判断したのだ。