後ろ向き経営の三越伊勢丹にコロナ禍が容赦なく追い打ち
「EC(電子商取引)に力を入れたのは正解だったと思います。新型コロナのせいで店舗での販売が見込めない中、今後を左右するアイテムです」
杉江社長は昨年度から3年間で200億円を投じ、EC事業の拡充を図っている。しかし、周囲の見方は冷ややかだ。
「すでに他の百貨店も力を入れている分野で、遅ればせながらという感が強い。三越伊勢丹のクレジットカード会員には富裕層が多いので、それなりの強みはあるものの、年齢層が高く、先細りが見えている」(カード会社役員)
前向きな事業といえば、もうひとつある。今年2月、日本橋三越本店新館にビックカメラがオープンしたのだ。
「ビックカメラの宮嶋宏幸社長から杉江社長に話があり、決まったものです」(中堅社員)
安売りのイメージが強いビックカメラだが、三越で扱うのは富裕層をターゲットにした高級家電。欧米の百貨店では近年、高級家電のフロアを設けるのがブームになっている。それにならったもので、期待は大きかったが、「新型コロナのせいで、春の家電商戦も飛んでしまった」と中堅社員は嘆く。
業界の盟主はおろか、大手の中で復活が一番、遅そうな雲行きである。