QDレーザ 菅原充社長(1)半導体レーザー技術を駆使した“驚異のメガネ”を開発
■小型プロジェクター開発の挫折から生まれる
実はこのレティッサ、ある開発事業の挫折から生み出された。QDレーザは2006年に創業したが、当初は映像を壁面などに投影する小型プロジェクターを開発しようとしていた。
「開発を進めていくと、画像のギラつき、消費電力の大きさなど、いろいろな問題が出てきました。中でも最大の壁が、“規制”でした」
技術的にはいくらでも強い光を出せるのだが、安全面からの規制で、光の強さに制約があることがわかったのだ。これでは強みを生かせないと、小型プロジェクター開発からは撤退することとなった。
「何か他に生かせないかと模索する中で見いだしたのが、網膜プロジェクターの開発でした」
試作品を作り、ある大学の展示会に出展してみると、視覚障害者が通う筑波技術大学の先生から、「学生たちに使わせてやってほしい」という依頼が寄せられた。14年7月、同大学で集まったロービジョンの学生たちに使ってもらうと、「見えます!」と喜びの反応が返ってきた。