ダイブ 庄子潔社長(1)リゾートバイト派遣業で今年3月に東証グロース上場
コロナ禍で壊滅的な打撃を受けた日本の観光産業。影響が及んだのは宿泊施設や旅行業だけではなかった。人材派遣会社のダイブも一時は存続の危機に見舞われた。観光地のホテル・旅館、レジャー施設などに短期移住して勤務するリゾートバイトを派遣する事業を展開していたからだ。売り上げが一気に8割も減った。
「かつてない苦しさを味わった」と振り返るのは同社の庄子潔社長(45)だ。さまざまな対策を素早く打ち出し、事業を何とか継続。徐々に業績も持ち直し、今年3月には念願の東証グロース上場を果たした。
若きリーダーの庄子氏は仙台市の出身。実家は寿司屋を経営していた。「ごく平均的な家庭」と庄子氏は話すが、寿司屋は東北大のすぐそばという好立地。従業員も約20人もいて、何不自由なく育った。
「唯一の不満は寿司屋が土日も営業しているため、家族旅行ができなかったこと。同級生が海に行ったとかハイキングしたとか、楽しそうに話しているのがうらやましかった」
小中ではサッカーに熱中した。Jリーガーになりたいと思ったこともあったが、「全然才能がなかった」と笑う。あまり机には向かわなかった。中学3年になると、父から「高校は公立に行け」と言われた。成績は下から数えて学年で10番目前後。とても受かるようなレベルではなかった。そこで息子にやる気を出させるために父はニンジンをぶら下げることにした。「もし、公立に合格したら、米国に行かせてやるぞ」という。ニュージャージー州に父の姉夫婦が住んでいた。