サンヨー製菓 池田光隆社長(1)駄菓子でお馴染み「モロッコヨーグル」秘話 8坪に満たない長屋で誕生
甘酸っぱいクリームが、口いっぱいに広がる。どこか、懐かしい味と独特の舌触り。幼い頃に誰しもが駄菓子屋などで一度は口にしたことがあるであろう「モロッコヨーグル」。これを長年販売しているのがサンヨー製菓だ。たった一つの商品が半世紀も変わらない味でロングセラーとなっている。その誕生秘話と会社のこれまでの歩みを、3代目経営者の池田光隆氏に聞いた。
大阪市西成区の住宅街に位置するサンヨー製菓は、住宅になじむようにひっそりとたたずんでいる。働いているのは池田氏のほかに従業員7人。
「弊社は元々、池田製菓として、1959年に誕生しました。当時は私の祖父の時代です。祖父が佐賀の人間で、佐賀のお菓子を、戦争が終わって大阪に来て作りはじめたのがきっかけですね。最初は長屋の一角で、8坪しかない、隣の家とベニヤ板で挟まれただけの狭い一角でスタートしたんです」
池田製菓として誕生し、その後、「燦陽」と漢字名となり、サンヨー製菓として1961年にスタートを切った。
「戦後直後、闇市の時代でしたから、仕事終わって、ご飯食べて、子ども寝かせて、夜中に闇市行って、また朝から働くっていう働きぶりでしたね。祖父の理念として、これからの子どもさんにおいしいものを安く、そして安全に楽しんでもらおうという気持ちがありました」