国連の女性差別撤廃委員会が日本政府に突きつけた「4度目の勧告」
国連の女性差別撤廃委員会は10月29日、日本政府に対し選択的夫婦別姓制度の導入を求める「最終見解」を公表した。今回の指摘は2003年以降4度目の勧告となった。
男女平等社会の実現を目指し、男女共同参画社会基本法(1999年成立)で「最重要課題」と位置付け女性の活躍推進が叫ばれてきた。だが、国連の委員会から4度目の勧告を受けたことは、実際の政府の取り扱いが不十分だったことを示したといえる。人事労務問題の解決や女性活躍を推進している東レ経営研究所の宮原淳二部長が「4度目の勧告は驚きです」と述べたうえでこう続ける。
■世界から取り残される日本
「名字の違いは家族内で違和感があるとか、家族の一体感がなくなるといった理由で自民党議員らの強い反対が背景にありますが、別姓の導入は選択制です。希望する女性が選択すればよいだけのことです。夫婦別姓の導入を早急に実現しなければ世界から取り残されます」
世界各国の男女平等の度合いを示すジェンダーギャップ指数で日本は146カ国中118位。先進国G7中では最下位だ(2024年報告書)。象徴的なのが政治、経済の順位の低さだ。今回の衆議院選挙で立候補者1344人のうち女性は314人と過去最高だったものの全体の23.36%、当選者は73人と当選者全体の15.7%にとどまっている。女性議員を増やすにはまず候補者数増が必要だが、25年までに女性候補者の割合を35%にする政府目標には遠く及ばない。