「冷戦後も発注減らさないで…」三菱重工会長が93年10月、防衛庁長官に要請した
経団連も支援を提言
91年度を境に、日本でも防衛調達予算は減少に転じる。防衛調達予算とは、人件費などを抜いた予算のことだ。
このままでは軍需企業は痛手を被ることになる。
93年10月、三菱重工業会長の飯田庸太郎らは、中西啓介長官ら防衛庁幹部と懇談会を開いた。飯田は「発注を減らさないでほしい」と要望した(93年10月19日付朝日新聞)。
飯田は、この年の1月30日に掲載された毎日新聞のインタビューでは、次のように語っている。
「防衛の必要性そのものが問われることがないまま(中期防衛力整備計画の)見直しが決まってしまった。日本は独立国としてやっていけるのかとまで思ってしまう」
「独立国として門を閉めることは、夜、カギをかけて寝ることと同じ。中国や韓国など隣近所の情勢をよく見て決めないといけない」
95年には、経団連が「新時代に対応した防衛力整備計画の策定を望む」という提言を出して、政府に軍需産業を支援するよう求めた。このままでは「生産ラインの維持が困難」と述べている。
「欧米諸国とは異なり、わが国には国営の軍需工場は存在しないため、わが国の防衛生産・研究開発、装備の維持・補給・能力向上を支えているのは、産業界である」
ここから、軍需企業は経団連とともに反転攻勢をかけていく。=敬称略(つづく)