米トランプ大統領がウクライナに求める「敬意と感謝」に異論…ポーランド元大統領ワレサ氏が訴えた「ブタペスト覚書(合意)」とは
■「在日米軍駐留経費の爆増」や「感謝の意を示す見返り」を求める可能性も
日本ではあまり大きく報じられていないが、「ブタペスト覚書(合意)」とは1994年12月、全欧安全保障協力機構の仲介によって米国、英国、ロシアの核保有国三国が、ウクライナやベラルーシ、カザフスタンの核拡散防止条約への加盟を条件に安全保障を約束したものだ。
大雑把に言えば、ソビエト領時代に核基地があったウクライナに核放棄を求め、その代わりに同国の独立、主権、領土と安全を保障する――という内容。もっとも、ロシアは2014年3月にクリミア半島に侵攻した時点で、この覚書(合意)を反故にしているわけだが、米国までもが「そんな覚書(合意)は知らん。感謝して鉱物資源の権益をよこせ」と言い出せば、すべての安全保障条約は成り立たなくなってしまうだろう。ワレサ氏の指摘と懸念はもっともだ。
石破茂首相(67)とトランプ氏との初の日米首脳会談では、「両国は経済と安全保障で協力を深めると確認」「日米の新たな黄金時代を追求する決意を確認」と報じられたが、今のトランプ氏の言動を見ていると、これまでの約束事を無視し、いつ、「在日米軍駐留経費を爆増しろ」「感謝の意を示す証として何らかの見返りをよこせ」などと言い出すか分からない。