事件から1年たって見えてきた…ススキノ頭部切断事件の深層
昨年7月のことだ。札幌ススキノのラブホテルで首なし遺体が発見された。その3日後、田村浩子は娘の瑠奈(30)から「見て」といわれる。普段と変わらない自然な口調だったため、彼女は浴室に入った。目に飛び込んできたのは「洗い場に置かれている、皮膚を剥がされて全体が赤くなった人間の頭部だった」。
この時の心境を浩子は弁護士にこう語ったという。
「この世の地獄がここにあると思い、深い絶望感に襲われました」
週刊文春(6月20日号)に掲載された、この事件の真相に迫る秀逸なルポは、子育て中の親たちに深い衝撃と恐怖を与えたであろう。
父親の修は名医といわれる精神科医であり、母親も高学歴。一人娘は両親の愛情を一身に受けて育ったはずだった。しかし、小学2年生の頃から次第に不登校気味になる。小学5年生の時、同級生の何げないひと言に激怒した瑠奈が、彼に馬乗りになって喉元に刃物を突き付ける“事件”が起きた。
事態は好転せず、中学に入学してから瑠奈は登校できなくなっていくが、その頃から人体の構造に興味を持ち始め、頭蓋骨の模型などを部屋に展示するようになったという。