なぜ「正力賞」は田中投手ではなく星野監督なのか
異議あり! というファンも多いだろう。11日、都内で「正力松太郎賞」の選考委員会が開かれ、楽天の星野仙一監督(66)の受賞が決定。レギュラーシーズンで24勝無敗という空前絶後の記録を残した田中将大(25)には、特別賞を贈ることで落ち着いた。
「東日本大震災があってから、星野監督は先頭に立って戦ってきた。指揮官としての頑張りは、正力賞に一番値する」
とは、王貞治選考委員長の弁。星野監督か、田中か、はたまた、シーズン最多本塁打記録を塗り替えたヤクルトのバレンティンか……。選考には昨年の3倍の時間を要し、結局、「3年目の正直で日本一になり、地元の皆さんに感動を与えた」(王委員長)ことが決め手になったという。
しかし、楽天が球団創設9年目で初の日本一になったのも、ひとりで24もの貯金をつくった田中の快投があってこそ。東北の野球ファン、全国の野球ファンの注目を一身に集め、勝ち続けることで感動を与えた。そもそも「正力松太郎賞」は、その年のプロ野球の発展に貢献した監督、選手に贈られる賞。趣旨からいっても田中が最もふさわしいのではないか。それがいつの間にか、日本一監督に贈られる「最優秀監督賞」のようになっている。
選考委員は王貞治、杉下茂、中西太、山本浩二のOB4氏に野球ジャーナリストの田口雅雄氏の計5人。杉下氏と山本氏は特に星野監督とは深い縁がある。慣例重視の選考に情実まで働いたとしたら、正力賞に傷がつく。