指導も精神論もなし ひたすら見守る巨人・松井の“真意”
■「選手、コーチとして素晴らしい」
松井は以前、日刊ゲンダイ本紙のインタビューに答えてこう言った。
「マッティングリーに助けられたこと? たくさん助けられましたよ、彼には。すごく細かいところまで見ているし、いいときと悪いときの違いもよく見ている。それに、いろいろな練習方法を持っています。だから当てはめようとしないですよね。こうだっていうふうに。すごく柔軟ですよ。選手としても指導者としても優秀な人はあまりいないような感じがしますけど、彼は選手としてもコーチとしても素晴らしい人ですよ」
そのマッティングリーはヤンキースのコーチ時代、松井も言うようにとにかく選手をよく見ていた。あるときはケージの横から、あるときはやや後ろから、自分の立ち位置を変えてさまざまな角度から選手のフリー打撃をチェックした。「いろいろな練習方法」、つまりは引き出しが豊富なことや、選手に合わせて対処する柔軟性は、選手の特徴をつかんで初めて生きる。松井はなにより選手をよく「見る」重要性を、マッティングリーから学んだのかもしれない。