指導も精神論もなし ひたすら見守る巨人・松井の“真意”
サク越えを12本放ち、「一球一球、いい打撃をしようと思った。<いい感じで振れている>と言ってもらった」と満足げだった坂本に対し、松井は「振りも力強いし、いい打球が飛んでいた。穴を見つけるのが難しいくらい。インコース? うまいよね。腕をうまく畳んで打つよね。昨季は不本意? もともと力のある選手。思うようにプレーすればいい」と持ち上げるだけである。
松井の行く先々をゾロゾロとついて回るテレビ局関係者からは「松井さんがもっと指導してくれると、いい絵(映像)がとれるんだけど」と早くもため息が漏れた。「他のコーチもいるし、気を使って何もやらないようにしているのかな」と勘ぐるムキもあるが、実はこれこそが「ゴジラ流」なのだ。
松井は「見る」ということを、単なる「指導の準備」とは考えていない。準備どころか、見ることこそ何より大切だととらえている。
プロ入り1年目からマンツーマンで助言をもらっていた長嶋茂雄終身名誉監督(77)は別格として、過去に大きな影響を受けた指導者がいる。ヤンキースのジーター(39)の前のキャプテンで、04~07年、トーリ監督の下で打撃、ベンチコーチを務めたドン・マッティングリー(52=現ドジャース監督)だ。