「リプニツカヤ優位」を一蹴 女王キム・ヨナが見せた“貫禄”
「リプニツカヤが優勝するという雰囲気があるのはよくない」
フィギュア関係者に向かって強烈パンチを繰り出すような発言だった。
バンクーバー五輪金メダリストでフィギュア史上3人目の連覇を狙うキム・ヨナ(23・韓国)だ。
12日深夜にソチ入りすると大勢の報道陣に取り囲まれ、脚光を浴びる地元ロシアの新星、15歳ユリア・リプニツカヤについて口を開いた。
五輪直前までは4年前同様に浅田真央(23)とキムとの金メダル争いに注目が集まっていた。そこにソチから新種目に採用されたフィギュアスケート団体で、SP1位に続きフリーでも圧巻の演技で1位に立ち、ロシア初の金獲得に貢献したリプニツカヤが浅田とキムの間に割って入って金メダル候補に躍り出たからだ。
「キムが女王らしく冷静で貫禄のあるコメントを出したことで、リプニツカヤ優位という異様なムードも少しは鎮まるでしょう。フィギュアは審判の心証が採点を大きく左右します。キムが指摘したように、スピードスケートのようにタイムで競うものではなく、審判によってジャッジも変わってくる。だからこそ競技前から<リプニツカヤはすごい>というイメージが定着することを恐れていたのです。リプニツカヤは今季GPシリーズ2連勝、GPファイナルは浅田に次いで2位。大会直前に行われた1月の欧州選手権では逆転で優勝するなど成長著しい。それに地元の大声援を受けたら、ますます採点が有利に働く。だからこそ審判団に、ムードに流されずにもっと冷静になってジャッジして欲しいというアピールなのです」(フィギュア関係者)
キムは今季限りの現役引退を決めており、ソチが最後の五輪になる。15歳の小娘に負けていられない、言うべきことはちゃんと言うという強い意志の表れなのだ。