選球眼、制球力は二の次 王貞治氏が憂う日本プロ野球の劣化

公開日: 更新日:

イチロー以来、ヒットを打つことだけが評価されるようになった。だから今の打者は打数が多いだろう。自分の時代は300から400だった。四球を選んだからで、みんな選球眼が良かった」

 少し前、王貞治ソフトバンク会長がある集まりで最近のプロ野球に関して、こんな話をしたという。そしてこう付け加えたそうだ。

「今は同点で九回2死満塁、カウント3-2からワンバウンドになるボール球を振る。見逃せばボールで(押し出しで)サヨナラ勝ちになるのに。それでもフォークボールは空振りしても当たり前、みたいな顔をしてベンチに戻ってくる。おかしいよ」

 ワンバウンドのクソボールを振るなんて選球眼以前の問題だろうが、さすがは“世界の王”だ。その指摘は正鵠を射ている。評論家の高橋善正氏はこう言う。

「まったくその通りです。実は以前、王さんと同じような話をしたことがある。今は年間200本安打とかいって、打者はヒットを打つことが評価される。投手はスピードガンができてから、速いボールを投げることがすごいといわれる。選球眼とかコントロールが二の次、三の次になっている。ホームベースの1メートル手前でワンバウンドするようなフォークを投手が投げ、それを平気で打者が空振りするのは、そうした風潮と関係があります。少し前まではそんなボールを投げる投手もめったにいなかったし、また手を出す打者はいなかった」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    芸能界を去った中居正広氏と同じく白髪姿の小沢一敬…女性タレントが明かした近況

  4. 4

    中居正広氏、石橋貴明に続く“セクハラ常習者”は戦々恐々 フジテレビ問題が日本版#MeToo運動へ

  5. 5

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  1. 6

    広末涼子が逮捕以前に映画主演オファーを断っていたワケ

  2. 7

    大阪万博メディアデー参加で分かった…目立つ未完成パビリオン、職人は「えらいこっちゃ」と大慌て

  3. 8

    容姿優先、女子アナ上納、セクハラ蔓延…フジテレビはメディアではなく、まるでキャバクラ状態だった

  4. 9

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

  5. 10

    エンゼルス菊池雄星を悩ませる「大谷の呪い」…地元も母校も同じで現地ファンの期待のしかかる