選球眼、制球力は二の次 王貞治氏が憂う日本プロ野球の劣化
■歩くより打ちたがるイチローが元凶
打数うんぬんでいえば、王貞治が最も多かったのは1962年の497(134試合、72四球)。昨年のセ・リーグは巨人・長野で590(144試合)、パ・リーグはソフトバンク・松田で584(同)。四球は長野48、松田27。試合数、打者のタイプが違うとはいえ、大きな差があるのは打者が出塁することより、“打ちたがる”ことと無関係ではなかろう。
イチローも四球で歩くより、打ちたがるタイプ。オリックス時代の最多打数は546(130試合、51四球)と多いが、その年、初めて年間200安打を突破(210本)、打率.385で首位打者になっている。イチローほどの技術があれば、ボールを選ばなくても、クソボールに手を出してもヒットにできるが、そんな打者はほとんどいない。
「王さんが話していたが、現役時代、キャンプでエースクラスが投球練習をすると、ブルペンの打席に立ってストライクゾーンを確認したり、ボールの速さ、変化球の切れに目を慣らしたそうだ。そうやって選球眼を磨いて、ボール球に手を出さない訓練をした。今はそういう打者もほとんどいないし、またそういう指導をするコーチも聞かない。野球はストライクを打ち、ボール球を見逃すのが原則。とんでもないボールを投げ、そのボール球を振るのはプロ失格でしょう」(高橋氏)
今年もプロ失格の投手が投げ、打者が空振りする。そんな拙い野球を見せられたらファンはたまらないし、プロ野球は面白くならない。