広島・野村と阪神・藤浪は首位争い2球団の“不安の種”
お粗末な首位攻防戦だった。阪神が広島に勝った30日の一戦は、両先発がピリッとしなかった。
「ふがいない投球。価値のない勝利です」
こう言ってうなだれたのは阪神の藤浪(20)。二回に7点の大量リードをもらった直後の三回、先頭打者の投手野村に四球を与えると、野手のミスも絡んでこの回だけで4失点。五回で降板した。150キロ超の直球がことごとくボールとなる制球難に悩み、今季は2勝2敗、防御率4.41。試合に勝った和田監督も「よく5回持ったという感じ。先頭投手への四球。あれが後々に響いた」と表情を曇らせた。
ある球団のスコアラーは「キャンプから特に走り込みが少なかった。100球を超えて崩れる試合が多いのは、スタミナ不足が原因だろう」と言うが、評論家の福間納氏は「首脳陣にも責任がある」と話す。
「テークバックの時から力んでいて、体の開きが早く、腕が横振りになっている。これでは制球は安定せず、打者は速さを全く感じない。この力みは精神面が影響しているはず。首脳陣は藤浪を一人前扱いして、キャンプの調整の大半を本人に任せた。練習量が足りなくても金の卵を壊せないと練習を強制せず、一方で『大人扱い』による過度の期待がプレッシャーになり、藤浪は結果を出そうと必死になり過ぎている。彼は1年目に10勝したとはいえ、まだ高卒2年目の20歳。負担をかけ過ぎでしょう」