ブラジル失速 「初W杯の重圧」に押し潰された若手選手たち
■ピッチに入ってすぐに顔がこわばったベルナール
原因のひとつは、後半からMFラミレスに代わって入った、FWベルナールだった。彼はハーフタイム、跳び上がらんばかりのうれしそうな表情でピッチに入って行った。しかし、彼が光ったプレーを見せたのはわずかだった。顔はこわばり、明らかに地元W杯の雰囲気に押しつぶされていた。前回大会を経験していたラミレスが前半そつのないプレーをしていたのと対照的である。ベルナールだけでなく、ネイマールたちも浮足立ち、ミスを連発した。
94年大会の優勝メンバーのひとり、元ブラジル代表のジウマールは「ブラジルは優勝する力はあるが、若い選手たちがW杯特有のプレッシャーに慣れる必要がある」と指摘していた。もちろん、彼らも大会が進むうちにW杯の雰囲気に慣れることだろう。そうした意味では序盤戦で危うい経験をしたことは、青さの残るブラジル代表にとって良かったのかもしれない。
文・田崎健太(ノンフィクション作家)