選手の体調は二の次? 日本代表ベースキャンプ決定の裏事情
たとえて言うと、ベースキャンプは涼しい北海道。試合前日に沖縄に飛んで試合をこなし、翌日に北海道に戻って調整。4日後には再び沖縄に向けて飛び、試合をこなす。これでは気候の変化に対応できず、体調を崩す選手が続出するのも当然ではないか。
日本代表は当初、ベースキャンプ地を選定する際、初戦の試合会場レシフェ近くのマセイオも有力候補地にしていた。最終的にイトゥ市に決まり、協会幹部は「地元日本人会の協力や日本の食材が入手しやすい。宿泊先がバスタブを新設してくれるから」と説明した。ところが前出の六川氏によると、それとは異なる“事情”も透けて見えたという。
「イトゥ市を実際に訪れて諸事情が理解できました。キャンプ施設の近くにブラジルキリン社の工場があり、市内で売られているミネラル、炭酸飲料の大半がキリン製。メディア陣が仕事をするワーキングルームにはキリン製のドリンクが無償で置かれ、取材後は主力ビールの一番搾りが、1人に1本ずつ提供されました」(六川氏)
キリンはアディダスと並び、日本サッカーの大スポンサーである。ブラジルキリンは、W杯前から一番搾り(現地商品名KIRIN ICHIBAN)の現地販売をスタートさせている。そして2015年4月からキリンは、「サッカー日本代表オフィシャルパートナー」として新たに8年契約を更新する。これは現在締結中のオフィシャルスポンサー契約からより踏み込んだ形だ――。
日本サッカー協会がスポンサーの顔色をうかがい、選手の体調管理は二の次になってしまったとすれば、日本の惨敗はその時点で決まっていたことになる。