原博実氏が語る「ザック日本の敗因」「専務理事兼務への批判」
――ブラジルでは、各国選手の「戦う気持ち」を強烈に感じました。
「欧州でプレーしている選手が『相手の当たりが違う』と言うから『いつも対戦して慣れているのでは?』と聞いた。すると『欧州チャンピオンズリーグ(CL)でも気が抜けたり、足が止まる彼らの集中力が90分間続いた』と驚いていた。やはり一国の代表として背負っているモノの重みが違うということ。何よりも『戦うんだ!』という気持ちがまさにサッカーの原点と思い知りました」
――ザッケローニ前監督を招聘した原技術委員長が、専務理事を兼務したことへの批判の声がありました。また攻撃的なザッケローニ監督の後任に守備重視のアギーレ監督では、継続性に問題アリという意見もあります。
「サッカーは、そんなに単純なモノではありません。世界の潮流は、攻守が瞬間的に変わるサッカーです。アギーレ監督の言う『まずは守備』というのも、アグレッシブに守るというイメージです。専務理事との兼務ですが、前任者が突然に辞任され、昨年12月に大仁邦弥会長から専務理事の話がありました。ですが、ここで日本代表を放り出すわけにはいかないので『無理です』と断りました。ましてや専務理事は大変な仕事で、片手間でできるものではありませんから。すると大仁会長から、専務理事には補佐をつけるので、W杯が終わるまで技術委員長との兼任でも構わないと言われ、引き受けたのです。ただ、W杯の結果、分析までは自分がやるべきであると考えていました。技術委員長をバトンタッチした後で新監督を決めるとなると、監督否定から入って後任監督を選ぶ可能性が高くなります。それよりも監督選びのポリシーや流れをきちんと確立し、後任を選んだ上で新技術委員長に託す方が良いと判断したのです。技術委員会として考え方を整理し、アギーレ監督にお願いすることにしたのです」