逸ノ城ヒヤヒヤ初白星…今場所苦戦を招いた親方の“怠慢”
勝つには勝った。そうとしか言いようがない相撲だった。大相撲九州場所2日目、新関脇逸ノ城(21)が初白星。宝富士を右からの下手投げで転がしたものの、パワー以上に目立ったのが立ち合いの弱さだ。
逸ノ城は立ち上がるのが遅く、しかも腰高の棒立ち。一度は宝富士に押し込まれたほどだ。相撲評論家の中澤潔氏が言う。
「宝富士は相撲はうまいが、決して力強い力士ではない。力不足の力士が相手だったから勝てたということです。相手次第では立ち合いからそのまま押し切られたでしょう」
初日も横綱日馬富士の鋭い立ち合いに付いて行けず、あっさりと土俵を割った。日馬富士も「当たっただけで終わっちゃった」と、拍子抜けしていたほどだ。
■幕内力士とは稽古せず場所入り
今場所直前は入院と腰の違和感で満足に稽古が出来なかった。出稽古には一度も行かず、逸ノ城の他には三段目以下の力士しかいない湊部屋で汗を流しただけだった。
「そんな力士たちと稽古をしたって、逸ノ城には何の意味もありません。幕内力士と一度も稽古せずに本場所に上がるなど信じられない。今場所の逸ノ城は明らかに体力も勘も戻っていない。病み上がりなので本人は出稽古は避けたがるでしょう。でも、そこは師匠の湊親方が引きずってでも出稽古に連れて行って、『ちょっと転がしてやって下さい』とでも言えばよかった。相撲勘というものは強い力士と戦わないと戻りません。そうした指示をするのが師匠の役目でしょうけど、湊親方は逸ノ城が注目されて舞い上がっているように見える。これでは親方なんていりませんよ」(前出の中澤氏)
北の湖理事長は「逸ノ城は危なかった。体の大きさで残って、たまたま勝った」と指摘。その言葉を誰よりもわかっているのは逸ノ城だろう。今場所は勉強と思って乗り切るしかない。