世陸マラソン代表今井正人が語る「箱根駅伝」と「長期低迷」
――レース中に飲むドリンクのことですか?
「後半の失速は体力がなかったのが最大の理由とはいえ、給水の内容物も良くなかった。五輪選考会直後のレースからは思い切って、給水は水だけにしました」
――五輪選考会までは、水じゃなかったのですか?
「それまでは最初の給水は水かお茶。20キロぐらいで糖質の入っているスポーツドリンクでした」
――それのどこに問題があるのでしょうか?
「その取り方だと、乾いたスポンジに水をあげた時に、パッと広がるのと同じ効果なのです。つまり、体の中の糖がなくなったところに糖分を入れると、血糖値が急激にバンと上がる。一瞬はいいんですが、その後すぐに(血糖値が)ガンと下がるわけです。その結果、脳と足が動かなくなり、後半の失速につながっていたのです」
――なぜそこに気づいたのですか?
「以前から40キロ走という練習の中で、20キロ地点で甘いスポーツドリンクをもらうと、30キロ過ぎにお腹が減って、お腹の中がかゆくなるようなエネルギー切れの症状が起きていた。そこで、五輪選考会後の初レースで、水にしたらどうかと。実際にやってみたら、意外にも頭の中がすっきりとした状態でゴールできた。もちろん足はきつかったのですが、脳みそというか、考える力は生きていた。それ以前は足も体も全部きつくて、失速しだしたら何をやっても体も足も動かせなかった。水にしたおかげで、動かそうとすれば最後まで動く感覚が出るようになった。体質は皆違うので、このやり方が他の選手に当てはまるかどうかはわかりませんが、自分にはそれがよかった。もっと早く気づけばよかったんですけどね(笑い)」