<第24回>「プロでやっていくには優し過ぎる気がした」

「翔平、すっかり有名になっちゃったな」
「テレビのニュースとかにも、いっぱい映ってるし」
「あんなふうになってホント、すげーよな」
「スゴいよ。確かにスゴいんだけど、なんか不思議な感じしねー?」
「する、する。(成人式で会ったときも)オレらにとってはフツー、中学のときと全然、変わってねーもんな」
今年1月、大谷の通った水沢南中学校3年7組のクラス会があった。大谷本人は成人式の後、すぐに帰京したため出席しなかったものの、同窓会は大谷の話題で盛り上がった。
プロ1年目から二刀流が注目され、「10勝、10本塁打」をマークした昨季は年俸も1億円にハネ上がった。いまをときめくプロ野球のスター選手なのに、久々に成人式で会った同級生たちには近寄り難い雰囲気を感じさせなかった。
3年7組の担任だった太田和成(38)は「(成人式で大谷に)会った友達も『全然、変わらなかった』と言っていたので安心した」そうだ。
太田が「安心した」のは、ただ単に、大谷が有名になったとたんテングになったり、かつての友達に対してお高くとまったりしなかったからではない。
プロ野球は生き馬の目を抜く世界。隙あらば他人を蹴落としてでも這い上がろうという連中がごまんといる。大谷の能力がいくら高くても、そういうシビアな世界に身を置いて、果たしてやっていけるのか、太田はかつて心配したことがあるのだ。
「プロで騒がれると変わるとか、テングになるのが多い? 少しくらいそういうのがあった方がいい気もしますけどね。プロ野球選手って、もうちょっと勝ち気で、オレがオレがというタイプの方が大成するというイメージがあったんです。なので大谷がプロに入ると聞いたとき、正直、大丈夫かなと。中学時代の大谷は
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