“ウマミの維持”が生んだFIFA汚職 MLB薬物禍に酷似の指摘
2日、国際サッカー連盟(FIFA)のジョセフ・ブラッター会長が辞任を表明した。不動と思われたブラッター体制も、米国司法省の起訴を発端とする汚職事件がFIFA内部の問題にとどまらず国際問題化しているという現実の前に屈したといえるだろう。
ブランド価値をおとしめるものが不祥事であるとすれば、協賛企業の多くが体制の刷新と事態の徹底した究明を求めている今回の汚職事件は、間違いなくFIFAにとって不祥事である。
ところで、メジャーリーグもこれまで数多くの不祥事に見舞われてきた。とりわけ、2000年代になって表面化した筋肉増強剤などの不正薬物の使用問題は、政界をも巻き込む大問題となったことはわれわれの記憶に新しい。
現在、メジャーリーグ機構は不正薬物を使用する選手に対して厳格な態度で臨んでおり、薬物問題は沈静化したかのようである。しかし、2005年まで機構が薬物を規制することはなかった。なぜなら、薬物の使用が成績の向上につながるという医学的な根拠がなかっただけでなく、薬物を使用している選手が好成績を残し、来場者数の増加に寄与していたからである。実際、1998年にマーク・マグワイアとサミー・ソーサが年間本塁打数の記録更新を目指していたとき、マグワイアは筋肉増強剤であるアンドロステンジオンの使用を告白し、物議をかもした。しかし、機構も選手組合も、アンドロステンジオンが市販薬であることを理由に不問に付している。