広島の「秘密兵器」薮田にプロの道開いた母の“売り込み文句”
■ずぶとさ買われG戦デビュー
大学3年夏のオープン戦の横浜商大戦で152キロをマーク。この試合を12球団で唯一、視察したのが広島のスカウトだった。亜大野球部関係者が証言する。
「やんちゃな性格で生田監督がサジを投げかけたほど。ヒジ、肩と故障が多かったこともあって、練習にいないなと捜してみると、寮で寝ていたなんて日常茶飯事。広島に指名された後も球団に『母子家庭で苦労したんだから金はしっかり管理しろ。無駄遣いはするな』と厳しく言われたのに、入寮早々、パチンコをやったのがばれて球団に“教育的指導”を受けたみたいなんです」
敵地の巨人戦デビューはそんな「やんちゃ坊主のずぶとさ」が緒方監督に買われたからだという。
試合後の薮田は「思ったより緊張しなかった」とケロリ。肩、ヒジの様子を見るため、登板間隔が空く先発でデビューしたが、球威があって三振が取れるため、将来的には「守護神」構想もあるという。敵将の巨人・原監督は「広島の新人投手の印象? 私は評論家じゃないからね」としながらも、「初登板という中で本人も他球団も含めて印象に残る投手だと思う」と評した。広島に出現した剛腕が、上位の阪神、巨人追撃の切り札になるかもしれない。