広島の「秘密兵器」薮田にプロの道開いた母の“売り込み文句”
広島の「秘密兵器」が東京ドームでベールを脱いだ。1日の巨人戦でドラフト2位ルーキー・薮田和樹(亜大)がプロ初登板初先発。150キロ台の速球を連発し、5回を5安打2失点の力投で初勝利を挙げた。
広島新人の巨人戦での初登板初先発初勝利は、黒田、斉藤、福井に次いで4人目になる。二軍で8試合に登板し、4勝1敗、防御率1.70。最速153キロのストレートとフォークを武器に、37イニングで42三振を奪っていたが、アマ時代の実績は皆無に等しい。
岡山理大付高時代に右ヒジを疲労骨折。亜大では肩も痛め、リーグ戦登板はたった2試合の通算0勝。それでも獲得した広島・松本有史スカウトは「小さいテークバックであの球威は化け物級。素材では亜大の同期でDeNAに入団した山崎以上だと思っています」と太鼓判を押していた。
球団関係者が面白いエピソードを披露する。
「女手一つで薮田を育てた母の昌美さんは、地元の広島でタクシー運転手をしながら一家を切り盛りしていた。業務中、うちの松田オーナーを客として乗せたことがあるんです。すぐにそうだと気づいたお母さんは、『息子が東京の亜細亜大学でピッチャーをやっているんです。速いボールを投げます。ぜひお願いします!』と売り込んだ。これもなにかの縁だと思ったオーナーが、『一度、亜細亜へ行って見てこい』とスカウトに指令。結果的にこの一言がプロへの道を開くことになったんです」