選考基準不足でも前田健が受賞 「沢村賞」乱発し過ぎでは?
「該当者なしの可能性もある特別な賞。もう一度取りたいと思っていたし、2度目は難しいと聞いていたのでうれしい」
今年の沢村賞に選ばれた広島の前田健太(27)がこう言った。
前田は今季29試合、206回3分の1を投げて15勝(8敗)、防御率2.09、勝率6割5分2厘、175奪三振、5完投。10という完投数以外6項目の選考基準をクリアした。
前田以外に阪神の藤浪晋太郎(21)と日本ハムの大谷翔平(21)も最終候補に残ったが、藤浪と大谷はともに4項目をクリアしただけ。それで最終的に前田の選出でまとまったようだ。
選考委員会の堀内委員長は「皆さんがベストワンを選ばなければいけないというので。私は該当者なしと言ったんだけど……」と話したほど。だったら「該当者なし」で構わないのに、今回も含めて近年の沢村賞は大安売りの傾向がある。14年の金子(オリックス)と12年の摂津(ソフトバンク)はともに完投数と投球回数、基準をクリアできなかった項目が2つあったにもかかわらず受賞した。
沢村賞はその年、最も活躍した先発完投型の投手に贈られる権威ある賞だ。乱発すればするほど価値は下がるだけだ。