リオ五輪への命運握る男 U-23遠藤航の“アナクロ主将”ぶり
「激しい言葉で選手を鼓舞する闘将・柱谷タイプでもなく、言葉を紡いで統率していく長谷部タイプでもありません。常に沈着冷静でピンチに動じることなく、黙々と、淡々とプレーしながらチームメートを“引っ張っていける”選手です。湘南ではPKのキッカー役を任されていたのですが、その理由を曺監督に聞いたら『PKを外しても、引きずらないのが遠藤だ』と話してくれた。強靱なメンタルもチームリーダーの資格十分です。指揮官からもチームメートからも一目置かれて、信頼にしっかりと応えられる選手――。それが遠藤航です」
1次リーグ3試合目のサウジアラビア戦が終わり、日本選手はサウジ選手や審判団と握手を交わし、ピッチ上でホッと一息ついていた。すると準々決勝以降のために温存された遠藤が、ピンク色のビブスをつけたままベンチから飛び出し、選手全員に「(スタンド正面の)サポーターに挨拶に行こう」と声を掛けた。
スタンドに近づくと遠藤は、全員が整列するのを待って「ありがとうございました」と言いながら深々と一礼した。他選手は遠藤を横目で見ながら、その動きに倣った。