リオ予選で卓球女王撃破も…伊藤美誠は今大会で“丸裸”に
その瞬間、笑顔がはじけた。
香港で行われている卓球リオ五輪アジア予選第2日で、15歳の伊藤美誠(世界ランク10位)が世界女王の丁寧(25=同2位)を4-2で破った。
丁寧は、ロンドン五輪団体金、シングルス銀、2月の世界卓球(団体)でも優勝。その丁寧を相手に伊藤は、終始ゲームの主導権を握り、リードを許した第6ゲームは6―8から逆転。昨年6月の初対戦から過去4戦全敗だった女王を見事に撃破した。「思い切ってできた」という伊藤のプレーを村上監督は「レシーブ力が以前と違った。相手のサービスで失点しないで、点差が離れないから得意のサービスでいろいろ仕掛けられる」と説明した。
笑いが止まらない伊藤に対し、14年アジア大会で福原愛に負けて以来、中国勢以外に黒星のなかった丁寧はかなりのショックだったはずだが、「それはどうでしょう」と、ある実業団の関係者がこう語る。
「卓球が国技の中国は、五輪でシングルスは男子2連覇、女子は7連覇中です。北京大会から始まった団体は、4カ月後に迫ったリオで男女とも3連覇を狙っている。実力差はまだあるが、ロンドン五輪と3月の世界卓球団体銀の日本の女子を警戒していることは間違いないでしょう。中国は、石川と福原の手の内は知り尽くしているが、団体メンバーで五輪初出場の伊藤に関してはデータが少ない。伊藤はこの半年で驚くほど成長しており、3月の世界卓球決勝でも、丁寧は伊藤に第1ゲームを取られている。丁寧は五輪出場は決まっているから、プライドを別にすれば、この試合に負けても痛くもかゆくもない。中国ベンチは丁寧に伊藤の受けに回ってもらい、100%の力を出させてサーブの回転、レシーブ力、両サイドへの攻めに対するフットワークなど、現在の実力を測ったり、データを収集したのではないか」
世界最強軍団は、したたかなのだ。