全勝対決で土の稀勢の里 白鵬と「大一番の経験」で及ばず
白鵬との対戦成績は、この日の黒星で13勝43敗。現役力士でこのモンゴル人横綱から2ケタ勝っている日本人力士は稀勢の里ひとりだ。平幕時代の10年11月場所では白鵬の連勝記録を63で止め、翌11年1月場所の関脇時にも横綱の快進撃を23連勝でストップさせている。
にもかかわらず、なぜ肝心な場面で勝てないのか。
「優勝36回という土俵の第一人者と、一度も優勝を経験していない力士の差でしょう。白鵬は優勝のかかった『ここぞ』という場面では決して負けない。それだけ大一番の経験を積んでいるし、自信も持っている。自由自在の相撲を取れるという強みもある。稀勢の里も白鵬を何度か倒していますが、どれも優勝のかかっていない場面でしょう。さらにいわせてもらえば、稀勢の里は今まで以上に下半身を鍛えるべきです。この日は最後に足がもつれたところで投げられたでしょう。たかが20秒そこらの相撲で足がもつれるというのは、稽古が足りない証拠です」(前出の中澤氏)
取組後は「見ての通り」と、肩を落とした稀勢の里。白鵬には「きょうの一番は(稀勢の里が)勝っていいよ、という感じだった。何かが足りないんでしょう」とすら言われた。ひと皮むけてようやく白鵬とがっぷり四つの相撲が取れるようになったのに、それでも最後はスタミナ切れで力負け。それも全盛期を過ぎてビンタやエルボーに頼りっ放しの横綱に対して、だ。白鵬との差は永遠に埋まりそうもない。