中村美里破り52kg級で金 ケルメンディは“コソボの誇り”
リオ五輪女子柔道52キロ級で金メダルを獲得した世界ランク1位のマイリンダ・ケルメンディ(コソボ=25)。準決勝で中村美里、決勝でオデッテ・ジュフリダ(イタリア)を破り、オリンピックに初めて選手団を派遣したコソボに早々の金メダルをもたらした。
旧ユーゴスラビア最後の独立国コソボ。ケルメンディは人口10万人の西部の町ペヤで生まれた。1990年代のコソボ紛争後の混乱で両親の職もままならない中、8歳の時に柔道を始めた。コーチのドリンコ・クカ氏にに鍛えられ、力をつけていった。ヨーロッパのジュニア大会で上位の常連になり、2009年には18歳で世界ジュニアで優勝。
ロンドン五輪の12年を迎えると同年4月、国際柔道連盟(IJT)はコソボの加盟を認めたが、国際オリンピック委員会(IOC)が難色を示した。このためケルメンディは市民権を持っていたアルバニア代表としてロンドン五輪に出場せざるを得なかった。
ロンドン五輪では3回戦負けも、13年リオで行われた世界選手権で優勝すると14年のロシア大会も連覇。15年のカザフスタン大会はケガで欠場したものの、52キロ級は“ケルメンディの時代”が到来していた。