母国に初の金で燃え尽き ネイマール今季リーガは大丈夫?
PKを蹴り込んで金メダルを決めた瞬間、ブラジル主将のMFネイマール(24)は喜びを爆発させて破顔一笑するでもなく、感激のあまりに涙をこぼすでもなく、ただ顔を歪めるばかりだった。
優勝を義務付けられた自国開催のリオ五輪で主将まで任され、ネイマールが「気が狂わんばかりのプレッシャー」と闘っていたのは想像に難くない。52年ヘルシンキ大会に初参加して以来、ブラジルは金メダルから見放され、リオ五輪で「必ず金メダルを!」の大合唱がネイマールの耳に入ってくる。もうひとつ。14年ブラジルW杯の悪夢を振り払うためにも五輪の優勝は絶対条件だった。14年7月8日。W杯準決勝でブラジルはドイツと対戦した。4日前の準々決勝コロンビア戦でFWネイマールは背骨を骨折。ドイツ戦はベンチで戦況を見つめた。チームメートは「ネイマールに勝利を贈る」と気合が空回り。ドイツに翻弄されて1─7の歴史的大惨敗。サッカー王国を自認するブラジル国民のプライドはズタズタに切り裂かれた。そのリベンジもネイマールは託された。
指揮官としての役目を担わされた。ブラジルA代表は昨年10月開始のロシアW杯南米予選で苦戦続き。6月の南米選手権では29年ぶりの1次リーグ敗退を喫し、ドゥンガ監督が解任された。コリンチャンスを率いて12年クラブW杯を制したチッチがA代表の後任を引き受けたが、五輪監督の兼任は拒絶。他に引き受け手もおらず、ブラジル20歳以下代表のミカレ監督にお鉢が回ってきたものの、47歳の“無名”指揮官に求心力はなく、チームの取りまとめ役までもネイマールがこなしたのだ。
五輪全6試合フル出場のネイマールは、心身ともに疲弊し切った。今季スペインリーグは19日に開幕したが、ネイマールの合流時期は現時点で不明。当分、使い物にならないのでは? バルセロナ界隈ではもっぱらだ。