骨にヒビでも練習 阪神2位小野泰己は父の“熱血指導”が礎
■スポーツ一家
小野には4歳上の姉と3歳上の兄がいる。小学時は3人揃ってソフトボールをやった。姉は短大までソフトを続け、高校時代は全国ベスト8。兄も小野と同じ折尾愛真高校(福岡県北九州市)まで野球をやった。勝己さんは毎週末、子供の野球に付き合った。父の思いはスポーツ一家という形で成就した。
小野が小学6年の時、勝己さんはソフトボールチームの監督を務めた。最上級生の父兄がやるのが慣例だった。ある試合で小野が右腕に死球を受けた。そのまま遊撃を守らせたが、ボールを送球した直後に腕がだらんと垂れ、苦悶の表情を浮かべた。
勝己さんは死球程度の痛みで引っ込めたら、他の教え子に示しがつかないと思った。しかし、周囲の父兄が「監督、どうみても腕がおかしい」と口々に言うので病院に連れて行くと、腕の骨にヒビが入っていた。
それでも父は監督として、翌日以降も練習させた。小野はギプスをはめたまま、ランニングやボール拾いをした。厳しすぎるとも思った。野球で成功するには足腰をしっかり鍛えるべきとの考えもあったが、「息子だからエコヒイキしている」との声を伝え聞いたこともある。他の父兄たちの手前もあった。6年時は投手でなく、あえて遊撃を守らせた。