骨にヒビでも練習 阪神2位小野泰己は父の“熱血指導”が礎
阪神ドラフト2位指名・小野泰己(投手・22・富士大)父の勝己さん(50)は中学を卒業すると、故郷の下関を出て全寮制の宇部工業高等専門学校(宇部市)で5年間、工学を学んだ。卒業後は福岡の精密機器を扱う1部上場企業に就職。勤続30年、現在は製造部門のグループ長を務める。
高校受験が一つの転機になった。小学時代は野球をしていたが、中学時代は勉強に集中した。公立の進学校に行きたかった。しかし、夢はかなわなかった。高専での生活は想像していたものと全く違った。1年生は全員、朝5時からスクワット500回などの訓練、夜は就寝時間までの1時間、正座させられた。休みがないと聞いて野球部の入部を断念、バスケ部に在籍するも「フリースローが入らないレベルだった」と勝己さんは笑う。3年生ごろから部活とアルバイトが生活の中心になった。
勝己さんが言う。
「高専時代は苦しくも楽しかった。今はサラリーマンとして人並みの人生を送っていますが、勉強して賢くなるならまだしも、将来はサラリーマンになれるかどうか。子供たちは多少、勉強は疎かになっても、スポーツに打ち込んだ方が社会で通用するはずだと。会社の若い子なんか見ても、野球などのスポーツ経験のある子は元気が良くて上司としても使いやすい。泰己が野球に熱中することは親としてうれしかった」