優勝はたった3人 新横綱・稀勢の里に昇進直後場所の重圧
動作一つ一つにどよめきが起き、四股を踏めば大歓声。興奮した観衆からは「日本一!」という声援も飛んだ。
27日に明治神宮で行われた奉納土俵入り。新横綱の稀勢の里(30)が、雲竜型の土俵入りを初披露した。初めてということもあってぎこちなく、せり上がりも早かったものの、新横綱としての大役を果たした。
「感謝の気持ちを込めて、一生懸命やりました。メリハリよく、力強くやろうと思いました」と、安堵のため息をついた稀勢の里にとって、気掛かりなのが次の3月場所だ。実は昇進直後の場所で結果を残せた横綱は一握りというデータがある。
1場所15日制が定着した1949年以降、誕生した横綱は稀勢の里を除いて31人。そのうち、昇進直後に優勝できたのは大横綱と呼ばれた大鵬と貴乃花(現理事)、そして稀勢の里の師匠である隆の里と、たった3人しかいない。13勝以上を挙げた横綱も、彼らを含めて6人だけ。一方、10勝未満は6人もいるのだ。
世間から「優勝して当然」と思われる横綱にかかる重圧は、大関の比ではない。しかも、負け越せば待っているのは引退だ。そうした重圧や恐怖と初めて闘うのが、昇進直後の場所。萎縮し、本来の力を発揮できないケースが圧倒的に多いのである。