優勝はたった3人 新横綱・稀勢の里に昇進直後場所の重圧
■横綱土俵入りも精神的に消耗
もうひとつ、新横綱を苦しめるのが、この日行った土俵入りだ。相撲評論家の中澤潔氏が言う。
「昔、ある横綱が話していました。『横綱土俵入りは軽く四股を踏んで、チョンチョンっとやるだけ……と思っている人が多い。でも、あれは結びの一番より、精神的に疲れるんですよ。絶対に間違えちゃいけないし、メリハリをつけて美しく見せなきゃいけない』と。確かに間違えたら赤っ恥。角界には『土俵入りがうまくなった横綱は引退間際』という格言もある。一見簡単でも、精神的な消耗は大きいんです」
ただでさえ、「2場所連続優勝」の基準を満たさずに昇進した稀勢の里は、3月場所で実力を見せつける必要がある。この日、明治神宮に集まったファンは約1万8000人。貴乃花の2万人には及ばずとも、約4300人だった白鵬の4倍以上だ。それだけファンも19年ぶりの和製横綱に期待をしている。
来場所も賜杯を抱き、雑音を封じ込めてくれるといいのだが……。