劇的幕切れに協会賛辞も…稀勢の里逆転Vの“危険な代償”
「照ノ富士は稀勢の里の弱い左を徹底して攻めるか、強い右を使わせない知恵があれば、2つは負けなかったはずです。稀勢の里は前日の鶴竜戦では、まったく力が入らずに負けた。千秋楽は前日よりは動けていたが、まさか優勝するとは思っていませんでしたね」と言うのは、評論家の中澤潔氏だ。
大相撲春場所の横綱・稀勢の里(30)は、13日目の日馬富士戦で左肩付近を負傷。前日の横綱・鶴竜戦にはなすすべなく敗れたものの、千秋楽は大関・照ノ富士(25)に本割と優勝決定戦に連勝。逆転で2場所連続優勝を果たした。新横綱での優勝は貴乃花(95年初場所)以来22年ぶり。新横綱は表彰式の君が代斉唱の際、大粒の涙をボロボロ流した。
「何とも言えない。自分の力以上のものが出た。気持ちを強く持ってやった。しっかり(左肩を)治して、5月場所に元気な姿を見せられるように明日から治療したい」
■引退に追い込まれた貴乃花
こう語った稀勢の里は今回、田子ノ浦親方に出場を直訴して最後まで相撲を取ったわけだが、それを「待ってました」とばかりに、美談に仕立てた記事や報道が目立った。