横綱昇進で相撲が豹変 稀勢の里4連勝に評論家「不思議」
「横綱は大関と違って負け越したり、出直しがきく立場ではない。後がないんです。大関以上にプレッシャーや不安はあって当然なのに、少なくとも土俵上では重圧を感じているように見えません」
相撲評論家の中澤潔氏がこう言った。
15日、蒼国来を寄り切って初日から4連勝の横綱稀勢の里(30)に関してだ。
大関時代の勝率は7割近い。歴代の大関と比べてもコンスタントに勝っているものの、平幕相手の取りこぼしや、肝心な場面でのポカがあり、優勝は先の1月場所の1度だけ。課題は精神面といわれ続けてきた。横綱昇進でプレッシャーに押し潰されても不思議ではないのに、重圧に屈するどころか初日から危なげない相撲を取り続けている。中澤氏が言う。
「今場所は白鵬も含めたモンゴル3横綱の不甲斐ない相撲が目立つだけに、なおさら稀勢の里の安定感が際立って見える。少し腰高かなとは思いますけど、とにかく初日から自信に満ちた相撲を取っています。右上手を取り、左をおっつける型に持ち込めば負けないというものはありましたが、これだけ安定した相撲が取れるなら5年も大関で辛抱する必要がなかったのにと思うくらい。重圧を乗り越えていること自体が不思議です。まだ、4日目が終わったばかり。これからポカがあるかもしれませんが、現時点ではもともと実力のある力士が、横綱という地位によって人まで変わったように見えます」
モンゴル人横綱3人のダメさに助けられている部分はあるにせよ、専門家がクビをひねるくらい稀勢の里の相撲が変わったのは間違いない。