早くも今季6度目 “逆転の広島”の真価を橋本清氏が分析
昨年、25年ぶりのリーグVを果たした広島は、89勝のうち実に45勝を逆転でモノにした。これは12球団最多にして、2リーグ分裂以降のプロ野球新記録。チーム勝利数の半分以上に及ぶ劇的な白星が頂点へ駆け上がる勢いを生んだが、今季も「逆転の広島」は健在だ。
昨18日のDeNA戦にサヨナラ勝ち。1点を追う九回に4番新井から鈴木、エルドレッドの3連打で同点に追いつくと、小窪の犠打で1死二、三塁とチャンスを広げ、最後は途中出場の会沢が痛烈なヒットを放って試合を決めた。
今季6度目の逆転勝ちはもちろん、12球団最多である。評論家の橋本清氏がこういう。
「13日の巨人戦でも九回に一挙7得点を挙げたように、広島打線はとにかく粘り強く、そして、つながる。その秘密の一端が石井打撃コーチの指導方針にあると思います。昨年、石井コーチに話を聞くと、『選手には、根拠のない状態で打席に立つのはやめよう、と繰り返し言っています。ヒットやホームランがすべてじゃない。内容のある凡打なら大いに結構。進塁打もそうだし、ファウルで粘った末の三振も評価に値する。状況に応じてそれぞれが何をすべきなのか。求めているのはそれだけです』と言っていた。結果だけを求めず、内容を評価する。ベンチがその方針を徹底しているから、選手は結果にきゅうきゅうとしないで済むし、状況に応じた役割を果たそうとすることで、おのずと狙い球を絞れる。結果的に打線につながりが生まれるのだと思います」