圧巻V5の井上尚弥 “二刀流”ボクシングで米国進出に弾み
改めて、「世界」にその力を見せつけた。
王者・井上尚弥(24)が、同級2位のリカルド・ロドリゲス(27)を圧倒。3回KOで片づけ、念願の米国進出に弾みをつけた。
「(大橋)会長から、この次はビッグな試合がある、と聞いている。米国に向けても少しはアピールできたかなと思う」
試合後、本人がそう言ったように、井上陣営には米国進出の青写真がある。9月にラスベガスで防衛戦を行うプランだ。試合前日、「お客さんを興奮させたい。どう喜ばせ、次も見たいと思わせるか」という井上の言葉もそれを念頭に置いたものだった。
この日は2回に突然、本来の右構えを左構えにチェンジ。会場がどよめく中で、挑戦者のパンチを悠然とかわしながら、何度も鋭い左ストレートを繰り出した。単なる幻惑のためのスイッチではなく、十分にKO可能な左ストレート。仰天の「二刀流」スタイルは、防衛10度の元バンタム級王者・長谷川穂積をして「すごい」と言わしめる完成度だった。
米国ボクシングメディアの権威、「リング誌」が選ぶ「パウンド・フォー・パウンド」(体重差を抜きにして最強ボクサーを決めるランキング)で、世界10位にランクインする井上には世界が注目している。「怪物」が米国で「Monster」と呼ばれる日も近そうだ。