悲願の初優勝から大関陥落…琴奨菊が自ら選んだ相撲道
弱い大関として長らく沈殿し、一瞬の輝きで辺りを照らすも、徐々に徐々に火は小さくなり……。だが、それも一つの相撲人生だ。
大関時代の昨年1月場所は、琴奨菊(33)にとってまさに絶頂期だった。初日から白星を重ね、モンゴル人3横綱をも撃破。14勝1敗で初めて悲願の賜杯を手にした。2006年栃東(現玉ノ井親方)以来となる日本出身力士の優勝は、長らくモンゴル勢に土俵を席巻されていた角界の明るい話題となり、ファンにも「まだまだ日本人力士も捨てたもんじゃない」と希望を抱かせた。
ところが、綱とり場所となった翌3月場所は8勝7敗。元のダメ大関に戻ってしまい、7度目のカド番だった今年1月場所で負け越し、関脇に転落。たった1年で天国と地獄を味わった。現在は小結だが、すでに両ヒザはボロボロ。得意のがぶりも通用せず、組み止められてすくい投げを決められる相撲が目立つ。このまま相撲を取り続ければ、平幕、そして十両へと陥落するのは時間の問題だろう。
大関としては11年11月場所の昇進から陥落するまでの32場所で、2ケタ勝利はたったの9回。ちまたでは「クンロク大関」どころか「ハチナナ大関」と揶揄されていた。