400mリレー初の銅 日本男子“大バクチ変更”ズバリの裏側
日本の強みが発揮された。陸上の世界選手権9日目(日本時間13日=ロンドン)の男子400メートルリレー決勝で、日本(多田修平=関学大、飯塚翔太=ミズノ、桐生祥秀=東洋大、藤光謙司=ゼンリン)が38秒04で3位に入り、世界選手権で初のメダルを獲得した。
12日の予選1組では米国、英国に大差をつけられての3位。決勝進出こそ果たしたものの、38秒21のタイムは、決勝8チーム中6番目だった。そこで、日本陸連の苅部コーチは本調子ではない4走のケンブリッジ飛鳥をメンバーから外し、リレー要員に招集していたベテラン31歳の藤光を急きょ、アンカーに起用する大バクチ。その藤光はジャマイカとほぼ同時の3位でバトンを受けると、これが現役最後のレースとなった世界最速男ボルトが左足を痛めて倒れるアクシデントにも動揺せず、ゴールを駆け抜けた。
「日本は2001年にアンダーハンドパスを採用して以降、主要世界大会で決勝進出を逃したのは11年大邱(韓国)と15年北京(中国)での世界選手権。陸連の科学委員会が綿密にデータを収集し、分析して、それを現場にフィードバック。選手間でも、『腕振り3回以内でバトンを渡す、受け取る』と細かなことまで確認しあっている。決勝でメンバーが代わってもメダルを争えるのは、十数年をかけてバトンのパスワークを磨き続け、日本の『お家芸』として確立した成果です」(陸上競技に詳しいスポーツライターの高野祐太氏)