400mリレー初の銅 日本男子“大バクチ変更”ズバリの裏側
突然のアンカー指名を受けた藤光の安定感も光ったが、
「彼は13年のモスクワ世界選手権でも負傷した山県に代わって、急きょリレーメンバーに入って6位入賞に貢献しています。そのため、『スーパーサブ』のような報じられ方をしていますが、本来は200メートルのスペシャリストで個人種目でも十分に日本のトップを争う実力がある。31歳のベテランですが、今年6月に100メートルの自己ベスト(10秒23)を更新するなど、進化を続けています。競技会場でセグウェイに乗ったかと思ったらいきなり巧みに操り、取材を受けている仲間の横でクルクル回って冷やかすなど、ちゃめっ気とそして抜群のバランス感覚、運動神経がある。今後、注目して欲しい選手の一人です」
と、前出の高野氏。
日本の400メートルリレーは昨年のリオ五輪での銀に続くメダル獲得。伝統とバトンワークの巧みさで、「決勝常連国」から「メダル常連国」になりつつあるのは確かだが、
「世界選手権初のメダルは立派ですが、今回のタイムは38秒04で昨年のリオの37秒60から落としている。ボルトのアクシデントがなければ、恐らく4位でメダルはなかったでしょう。これまでバトンのパスワークにそれほど関心を持ってこなかった強豪国の中でも、オランダなどの一部有力国は熱心に取り組み始めています。日本がパスワークの優位性を保つためにはもっと技術を高める必要があると思います」(高野氏)
2020年の東京五輪を見据えれば、今回のメダル獲得にもろ手を挙げて喜んでいるだけではダメということだ。