2場所ぶり復帰 ケガ明けの稀勢の里に「優勝狙い」は禁物
12日に初日を迎える大相撲11月場所。注目は7月場所以来の土俵復帰となる、横綱稀勢の里(31)だろう。
3月場所で左上腕と左胸を痛めると、その後は左足首を故障するなど踏んだり蹴ったり。5、7月場所を途中休場すると、9月場所は全休。すっかり存在感を失った。
そんな横綱は去る9日に11月場所の出場を明言。秋巡業では若手の成長株、朝乃山と三番稽古を行うなど、精力的に動いている。6日の二所ノ関一門の連合稽古では、嘉風を圧倒。左からのおっつけの威力も十分とあって、4カ月前に横綱を翻弄した嘉風を「あの時とは圧力が違う」とうならせたほどだ。
しかし、好事魔多しとも言う。ある親方は「九州場所は優勝を意識しないことです」と話す。
「以前から『ノミの心臓』と言われていた稀勢の里だが、横綱に昇進してからもそれは変わっていない。ケガ明けということもあり、本人も『横綱の責任を果たさなくては』と意気込んでいるが、焦るともろい力士ですからね。無理に優勝を意識すれば余計に硬くなり、さらなるケガにもつながりかねない。ここは久々の土俵と割り切って、一日一番、15日間を無事に乗り切ることだけを考えるべきです」
幸い、白鵬、日馬富士の2横綱は出場する。綱の責任は彼らに任せ、自分の相撲だけに集中した方がいい。