確固たる根拠に乏しい勝負勘やセオリーはデータを阻害する
彼らが評価され、チームの指揮権を与えられた理由はただひとつ、フロントと選手を結ぶ橋渡し役、つまりコミュニケーション手腕に秀でている点だ。
そこに勝負勘や、昔ながらのセオリーなど必要ない。というより、むしろ邪魔だ。これまで勘やセオリーに任せていた部分がデータとして明確に数値化され、勝つために確率の高い手段を選択できるようになった。確固たる根拠に乏しいベテラン監督の勝負勘や昔ながらのセオリーは、ときとして、確率の高いデータを阻害するからだ。
要するに、いまの監督に求められるのは、フロントの決めた戦略を完璧に理解し、選手たちに実行するように促すこと。その戦略にはさまざまなデータが活用されるが、すでにその分野での優位性は失われつつある、とアストロズのルーノウGMは言う。
「テクノロジーの発展によって、データはより詳細に、より簡単に、より早く、より分かりやすく集積することが可能になった。その分、誰にでも活用できるようになりました。昨日は珍しかったものが、今日はもう当たり前のものになっているのです」