歴代1位のスロー出世 新大関・栃ノ心「綱とり」への課題
「謹んでお受けいたします。親方の教えを守り、力士の手本となれるように、稽古に精進します」
相撲協会からの使者を迎え、ぎこちないながらも栃ノ心(30)が口上を述べた。
30日の伝達式をもって、正式に大関へ。さらに上の地位、横綱については「まだ考えてないです」と話したが、これ以上の昇進は可能なのか。
力相撲になれば無敵を誇る一方、気がかりなのはその肉体だ。30歳という年齢もさることながら、新入幕から所要60場所で大関昇進は歴代1位のスロー出世。“勤続疲労”に加え、右ヒザにも古傷を抱えている。過去、欧州出身の大関は琴欧洲(現鳴戸親方)と把瑠都がいるが、いずれもヒザのケガが引退につながった。
さらに運も必要不可欠だ。横綱になるためには大関で「2場所連続優勝、あるいはそれに準ずる成績」を残さなくてはいけない。08年5月に初優勝した琴欧洲は、かつて日刊ゲンダイの連載で「その時が現役生活で一番、というわけではない。この時以上に調子のいい場所は何度もあった」と、話している。対戦競技である以上、ライバル力士たちの状態にも左右される。