ひとり無傷の8連勝 大関とり栃ノ心は“謙虚”と“品位”が課題
怪力無双の栃ノ心(30)が、20日の逸ノ城との巨漢対決を制し、ストレート給金を決めた。
力勝負になった大一番は、実に50秒近い熱戦。逸ノ城に吊りかけられる場面もあったが、下手投げを打ちつつもろ差しになると、じわじわと寄り切った。ただ一人全勝をキープして大関昇進どころか、自身2度目の優勝も見えてきた。
とはいえ、栃ノ心が大関として申し分ないかというと、話はまた違ってくる。ある親方は「強さは十分。足りないのは心技体の『心』です」と、こう続ける。
「7日目、遠藤に不戦勝で勝ったときに『早かったね。いい相撲だったでしょ』と話していた。不戦勝でスピード決着という栃ノ心なりのジョークだろうが、遠藤だって好きでケガをしたわけじゃない。それをちゃかすような発言はいただけませんよ。遠藤にすれば、バカにされたように感じるかもしれません」
栃ノ心は不戦勝の翌日、遠藤を「心配だね」と気遣った。この発言があったから救いはあるものの、
「そもそも力士は謙虚でなくてはいけない。大関になろうというなら、なおさらです。栃ノ心は先場所、低く当たる遠藤に苦戦していただけに、勝ちを拾って安堵したのかもしれない。が、そこはウソでも『遠藤と戦いたかった』と言うべきだった」
とは前出の親方。力士としての品位を問われるのはもちろん、今後も対戦するであろう相手の神経を逆なでして得なことはひとつもない。