著者のコラム一覧
田崎健太ノンフィクション作家

1968年、京都市生まれ。ノンフィクション作家。早大卒業後、小学館入社。「週刊ポスト」編集部などを経て、99年末に退社。著書に「W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇 」(新潮文庫)、「偶然完全 勝新太郎伝」(講談社+α文庫)、「真説・長州力 1951-2018」(集英社文庫)、「電通とFIFA」(光文社新書)、「真説・佐山サトル」(集英社インターナショナル)、「ドラガイ」(カンゼン)、「全身芸人」(太田出版)など多数。

86年Vの成功体験 アルゼンチンを苦しめるマラドーナの呪縛

公開日: 更新日:

 この呪縛が解けたのは、94年アメリカ大会だった。フォワードのロマーリオとベベットの2人を残して、中盤からしっかり守るサッカーを繰り広げた。「フッチボウ・アルチ」を放棄したことについて、大会前からブラジル国内で批判された。しかし、優勝することでそうした雑音を封じたのだ。

 一方のアルゼンチンの呪縛とは86年のメキシコ大会だ。これは今に至るまで、1人の選手の力により優勝を勝ち取った唯一の大会と称される。1人とはもちろんディエゴ・アルマンド・マラドーナである。イングランド相手に、彼が1点目を“神の手”で、2点目を5人抜きで決めた大会として記憶されている。

 10年大会からW杯に出場してきたリオネル・メッシは、同じ左利きで背番号10番をつけたマラドーナと比較され、彼の幻影に悩まされ続けてきた。

 今大会でも格下相手である初戦のアイスランド戦、アルゼンチンは「メッシに試合を託します」とばかりにボールを集めた。当然、その意図は相手に見え見えだった。そして屈強な肉体のアイスランドにより、小柄なメッシは潰された。サッカーはメンタルのスポーツでもある。クロアチア戦ではそれが尾を引き、メッシの動きは精彩を欠いた。

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