著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

指紋と虹彩で本人確認 大リーグから「入場券」が消える日

公開日: 更新日:

 すでにワシントンのナショナルズパークで行われたオールスター戦の関連行事で生体認証による入場券の発行が試行されている。さらに2018年のシーズン中にはヤンキース、ジャイアンツ、マリナーズ、メッツなどクリアの生体認証技術を導入している9つの球団の一部で生体認証による入場が試験的に行われ、19年にはより多くの球場で生体認証システムの導入が計画されている。

 それでは、なぜ大リーグは生体認証の導入を推進するのか。

 大リーグ機構の上級副社長であるノア・ガーデンが「安全で簡潔、そして円滑に入場券を手にできる環境を提供することが目的だ」と強調するように、1・5秒で本人確認が可能とされる生体認証が本格的に導入されれば、スマートフォンによる「モバイルチケット」や紙の入場券を利用している現在に比べて、より迅速に球場内に入ることが可能になり、観客の利便性が向上することは間違いない。

 それとともに、生体認証による発券を導入することは、転売を目的として入場券を購入し、高値で売りさばく事例が後を絶たないことへの対策、さらには監視や警備が比較的手薄になりがちな球場がテロリストの標的になることを防ぐという側面も持つ。

 もちろん、生体認証による入場が導入されても紙の入場券がただちに廃止されることはないし、紙の入場券に価値を見いだす観客も少なくない。それでも、大リーグ機構は目に見える課題を解決するために新技術の導入に取り組むのである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動