指紋と虹彩で本人確認 大リーグから「入場券」が消える日
すでにワシントンのナショナルズパークで行われたオールスター戦の関連行事で生体認証による入場券の発行が試行されている。さらに2018年のシーズン中にはヤンキース、ジャイアンツ、マリナーズ、メッツなどクリアの生体認証技術を導入している9つの球団の一部で生体認証による入場が試験的に行われ、19年にはより多くの球場で生体認証システムの導入が計画されている。
それでは、なぜ大リーグは生体認証の導入を推進するのか。
大リーグ機構の上級副社長であるノア・ガーデンが「安全で簡潔、そして円滑に入場券を手にできる環境を提供することが目的だ」と強調するように、1・5秒で本人確認が可能とされる生体認証が本格的に導入されれば、スマートフォンによる「モバイルチケット」や紙の入場券を利用している現在に比べて、より迅速に球場内に入ることが可能になり、観客の利便性が向上することは間違いない。
それとともに、生体認証による発券を導入することは、転売を目的として入場券を購入し、高値で売りさばく事例が後を絶たないことへの対策、さらには監視や警備が比較的手薄になりがちな球場がテロリストの標的になることを防ぐという側面も持つ。
もちろん、生体認証による入場が導入されても紙の入場券がただちに廃止されることはないし、紙の入場券に価値を見いだす観客も少なくない。それでも、大リーグ機構は目に見える課題を解決するために新技術の導入に取り組むのである。