愛工大名電・倉野監督に聞く スポーツ界パワハラ指導と今
――スピード?
「頭脳的な適応力、対応力でしょうね。例えば携帯電話の機種変更とか、最新のアプリとかゲームとか、彼らはすぐに対応できるでしょ。ホント、アプリなんか、ものの数分で使いこなしている。僕なんか無理ですよ(笑い)。そうしたことが野球でも生きている。最新の道具や考え方も、難なく受け入れる。昨日まで『野球はこういうものである』と思っていても、翌日から新しい野球に対応できる。ウチがまさにそれ。従来の伝統的なバントと機動力の野球から、あっという間に打撃のチームに生まれ変わった。人間もボタンひとつでリセットできるものだなあ、と感心したくらいです」
――そうした今の子供たちにきつい言動や厳しい叱責をしたら「パワハラだ」と受け取られかねないのでは?
「それは部員によりますよ。入部したばかりで右も左も分からない1年生や、補欠の3年生を厳しく叱っても、まるで意味がありません。レギュラーは別です。強くなるためには、一度、どん底を見なければいけないんです。バットも振れない、野球自体が嫌だ、というどん底を味わって初めて成長をする。褒めるだけ、怒らない、楽しい野球……それだけではどん底は見えない。真剣に勝負に打ち込むからこそ、見えるものもある。だから、時にはきつい叱責などもしますよ」